「マガーク少年探偵団」という児童小説シリーズって、みなさんご存知ですか?

作者はイギリスの児童小説作家、E.W.ヒルディック。

 

親分肌の赤毛の少年「ジャック・マガーク」を団長として、4人組(途中から5人に増える)の少年・少女が街のいろんな事件を解決する、っていう筋書きの児童小説でして、私が昔からすごーーく好きな児童小説シリーズの一つなんですけれど、残念ながらヒルディックが2001年に亡くなってしまった為、24巻まででシリーズは終わっています。

 

その内18冊が日本語訳されていて、一時は絶版になってしまったんですが、2003年になって8巻までが新装版になって復刊されているようです。続きも復刊して欲しいので皆さん買って読んでください(ダイレクトマーケティング)。

で、この「マガーク少年探偵団」の何が面白いのか、という話なんですが。

子どもの頃の私は、この探偵団のメンバーが、それぞれ特化した「役割」を持っている、ということに何より憧れたんじゃないかなあ、と思うんです。

 

上で書いた通り、マガーク少年探偵団には、5人のメインキャラクターが出てきます。彼らにはそれぞれ「二つ名」があります。

少年探偵団の団長、ジャック・マガーク。

「記録のジョーイ」こと、ジョーイ・ロカウェイ。物語の語り手でもあります。

「鼻のウィリー」こと、ウィリー・サンドフスキー。

「木登りワンダ」こと、ワンダ・グリーグ。

「頭脳のブレインズ」こと、ブレインズ・ベリンガム。探偵団には後から参加するキャラクターで、彼だけ9歳です。(他メンバーは全員10歳)

で、彼らにはそれぞれ得意分野があって、マガークは彼らの得意分野を使いこなして事件を解決しようとするんですね。

 

ジョーイは、どんなことでもこまめに記録していて、重要な手がかりが彼の記録から判明したりすることも多いです。

ウィリーは非常に鼻が鋭敏で、ちょっとした匂いをかぎ分けて犯人に繋がる事実が判明したりします。香水で気分悪くなったりもするんですが。

ワンダは「高さ」に関する感覚が鋭敏で、背丈を覚えて覆面をしていた犯人を見抜いたり、高いところに登って手がかりを見つけたりします。

ブレインズには化学の知識があり、いわゆる科学捜査のようなことをやって調査に貢献します。

 

で、彼らをまとめて、色んな手がかりを集めて、時には突拍子もない思いつきで捜査を進めて、時には物凄いひらめきで事件を解決に持っていくのがマガークの仕事、という訳です。

 

マガークは結構性格のアクが強く、自分勝手なところも多いんですが、作中見ていても「人をやる気にさせる」スキルはかなりのものです。

「この場面ではお前だ」的な取り上げ方があちらこちらで見え、個々人の能力に対する信頼ってのは物凄いんですね。普段はぎゃーぎゃー口をさしはさむのに、各メンバーが自分の得意分野で導き出した手がかりには殆ど文句を言わず、さくっと受け入れる。

これ、マネジメントの話にも通じるところがあると思います。

 

で、各メンバーも自分の得意分野については絶対の自信をもっていて、いってみれば「プロ」としてそれぞれのスキルを活かしているんですね。

勿論言うまでもなく、子どもは「謎解き」が大好きであって、事件が解決されていく過程、隠された秘密が明かされていく過程にわくわくします。

 

事件自体が日常に密着したものであることもあり、感情移入しつつの謎解きを追っていくのが「マガーク少年探偵団」の最大の面白さだ、ということは論を俟たないと思います。

けれど、それと同等、いやもしかするとそれ以上に、「登場キャラクターがそれぞれ明確な「役割」を持っている」ということに、子ども時代の私は物凄い感銘を受けたんです。

 

子どもが成長する上での「役割」の重要性

ここからちょっと話が変わります。

これはある程度一般化しちゃっていいと思うんですが、少なくとも小学校低学年くらいまでの子どもは、ほぼ一様に「役割」が好きです。「自分は〇〇係」「××は自分の仕事」というものをすごく欲しがるし、そういう役割があるとすごーく喜ぶんです。

 

例えば、子どもの頃の私は、親が飲むビールを冷蔵庫から運んでくる「ビール係」というものに任命されたことで物凄く張り切っていましたし。

しんざき家の長男(9歳)は「こどもリーダー」という役割を与えられていて、まあ平たくいっちゃうと長女次女のお世話係だったんですが、「ぼくはこどもリーダーだから!」と今でも凄い責任感を持ってくれていますし。

長女はお箸の用意係、次女はお風呂を沸かすボタンを押す係と、本当にちょっとしたことなんですが、単にお手伝いを頼むのではなくちゃんと「役割」を作ってそれを任命すると、子どもはやたら喜びますし、張り切ります。

 

恐らくこれって、成長の上でも大事だと思うんですよ。「役割」への憧れ。「役割」を与えられることによる責任感と、仕事をこなすということの達成感。どんなに小さなことでも、「役割」が成長に及ぼす影響って結構大きいんじゃないかなあ、と。

そういった、「役割」へのあこがれみたいなものも、マガーク探偵団シリーズの面白さの重要なエッセンスだったなあ、と、今の私はそんな風に考えるわけです。

 

ちなみにマガーク探偵団の話に戻るんですが

私が一番好きなのは12巻の「銀行強盗を捕まえろ」で、二番目が13巻の「ぬすまれた宝石の謎」だったんですが、これらまだ新装版が出てないみたいなんです…。

残りのタイトルも在庫少ないみたいですし、あかね書房さん是非是非続刊もよろしくお願いします。取りあえず今出てる分は全部買います。(旧版も持ってるんだけど)

「ぬすまれた宝石の謎」は、「中古のバイオリンケースに隠されていた宝の地図」という謎を端緒にした宝探し系のお話でして、なんともワクワクしながら読み進めたことを覚えています。

 

あと、ヒルディックは日本好きだったのか、それともシリーズに日本ファンが多かったからという理由なのか、17巻にあたる「ゆうかい犯 VS 空手少女」では「日本の空手少女」という謎の属性を持った日本人の少女、マリ・ヨシムラが登場したりもします。この巻もかなりぶっ飛んだ話が展開しますので、図書館ででも見かけたら是非手にとってみてください。

 

ということで、今日書きたいことはそれくらいです。

 

【安達が東京都主催のイベントに登壇します】

ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。


ウェビナーバナー

お申し込みはこちら(東京都サイト)


こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい

<2025年7月14日実施予定>

投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは

借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。

【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである

2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる

3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください

(2025/6/2更新)

 

【プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城